■ 記憶の中の僕 Season 2 ■
第1話 再甦の兆し
第2話 カミングアウト
第3話 嫉妬
第4話 革命のカリスマ

掲示板

記憶の中の僕 Season 2

第2話 カミングアウト


午後になり、今にも降り出しそうな空模様となってしまった。

「一応、傘持って行こうね。」
私は祐一郎に声をかけた。
「あ、はい。」
祐一郎はそういって、小走りに傘立てから傘を2本取ってきた。
「申請書持った?」
「はい。」
「調査票は?」
「持ちました。」
まるで、子どもに持ち物の確認をさせているカエルの親子だ。

「じゃ、行きましょう。」
そういって、私は公用車のカギを持ち、駐車場へと向かった。
背の高い祐一郎は私の後をトコトコ付いてきた。
今度は、マザコンの学生を連れまわしている教育ママの気分だ。
そんな私たちの動きを、遠くで綾香が見ているのが分かった。
(綾のやつ、また、面白がって・・・。見世物じゃないぞ。)


ウチの市役所では、新規採用後の半年間は公用車の運転を禁じられている。
仮採用の身分だからだ。
祐一郎も9月まではハンドルを握らせてもらえなかった。
10月になって初めて祐一郎と一緒に現場に出かけたとき、私は早速彼に運転させてみた。
(きっとヘタだろうな。)
日ごろの祐一郎の仕事ぶりから、私はそう予想していた。
そして、それは見事に的中した。

まず祐一郎は、駐車場から出ることに手こずってしまった。
車幅感覚がまったくないのだ。
その上慎重すぎるほど慎重な性格なので、助手席で私が「行けるよ」といっても、なかなか行かない。
私を信用していないわけではないのだが、身体が動かないようだ。

やっとのことで公道に出たものの、今度は制限速度に遥かに届かないようなスピードのろのろ走っているかと思えば、止まるべきところでキチンと止まらない、など運転にまったくメリハリがない。
状況判断が遅い上に悪いので、合流できずに止まってしまったり、後ろの車にクラクションを慣らされたりすることがしばしばだった。

そんな彼の運転を見て私は、二人で出かけるときは、今までどおり私が運転することにした。
もちろん事故防止の意図もあったが、なにより、私自身がその下手過ぎる運転に耐えられなかったからだ。
祐一郎は、自分が運転が苦手であることは自覚していたようで、その後は素直に私に従っている。


今日も私がクルマの鍵を持ち、運転席に収まった。
祐一郎は荷物を一旦後部座席に置いた後、助手席に乗った。

現場は市内なのでそれほど時間はかからない。
ほどなく現場に到着した。

今日の現場は、祐一郎が申請から許可まで担当したS興業の案件だ。
許可どおりに現場が完成しているかどうかの検査を行うのである。
最も簡単な部類に入る案件なので、難しい検査ではない。

雨が落ちてくる前にさっさと終わらせてしまいたいところだが、祐一郎が早く一人立ちするためにも、少し時間がかかってもいいので、今日の現場のやりとりは全部祐一郎に任せるつもりだ。

すでに現場には相手の会社の人と思われる男3人が来て待っていた。

祐一郎が不安そうに私を見た。
(どうしましょう?)とでもいいたそうな目だ。
私は、キツイ目つきを作って軽く頷いた。
「行け!」という合図のつもりだ。

「あのぅ・・・。」
祐一郎が3人に声をかけた。
(「あのぅ」じゃないぞ!「市役所です」って言わなきゃだめでしょ!)
いきなり私は心の中で突っ込んでしまった。

「あ、どうも。広山さん。今日はよろしくお願いします。」
現場で待っていた3人のうちの一番年かさの一人が祐一郎に気づいて近づいてきて、ペコリと会釈をした。
他の二人もいっしょに近づき頭を下げた。
おそらく、祐一郎とは何度かやり取りをしているので、祐一郎のことは分かっているのだろう。
「あ、はい・・・、どうも・・・。」
相変わらずオドオドしている。

「こちらに出来上がってますので、どうぞ。」
そう言って、相手は祐一郎を促した。
「あ、はい・・・。」

(相手に仕切られてどうすんだよ・・・。)
早速いつもなダメな祐一郎になっている。
だが、祐一郎のためにも、今日はできるだけ口を出さないと決めている。

相手に仕切られながらも、祐一郎は申請書と現場を確認しながら調査票を記入し始めた。
出来の悪い子どもの受験の面接に同席している母親の気持ちが分かる。
検査の内容よりも、祐一郎がキチンとできるかどうかが心配だ。

祐一郎は、時々確認を求めるような目つきで私を見るのだが、私はそれを無視していた。

ふと、私は現場に必要な標識板が付いていないことに気がついた。
(あ〜あ、これはアウトだな。)
私は祐一郎に近づき、背伸びして調査票を覗き込んだ。
祐一郎は少し驚いて、慌てて私の目線まで調査票を下ろした。
なんと、調査票の標識板の欄に「適」の印が付いている。
「広山さん、これ。」
私は、調査票の標識板の欄を指差した。
「あっ・・・」
そういって、祐一郎は現場をキョロキョロ見回した。
そして、間違いに気づき調査票の「適」マークを二重線で消した。

私は祐一郎のズサンさにあきれながら、あごで相手のほうを指して、キチンと伝えるように指示した。

「あのう、すみません。標識がですね、見当たらないのですが・・・。」
祐一郎がすまなそうに相手に声をかけた。
「ああ、標識板ですね、大丈夫です。もう発注してあるんですが、先方の都合で遅れてるんですよ。明日には付けますから、大丈夫ですよ。」
相手はまったく問題ないかのように切り返してきた。
「あ、そ、そうなんですか・・・。」
祐一郎は、切り返しに動揺している。
(「そうなんですか」じゃないでしょ!)

「まずいですか?」
「ん〜・・・」
祐一郎は考えている。
(ハッキリ「ダメ」といいなさい!!)

「明日標識板を取り付けたら写真を撮ってすぐお持ちしますよ。」
「ん〜・・・」
相変わらず返事をしない。
聞かれて答えを出さないのは、肯定しているのと同じだ。
もうこれ以上期待を持たせるわけにはいかない。

「申し訳ありませんが、標識板がないとダメですね。」
私はしびれを切らして横から口を出した。
相手の3人が一斉に私を見た。

「まあ、そうなんでしょうけど、これくらいなら検査には問題ないですよね?」
年かさの男は、私の言葉を無視するかのように祐一郎に向かって返事を求めた。

「これは法律に決められた基準なんです。」
私は横から重ねて伝えた。

「明日写真を持って行きますから大丈夫ですよね?」
今度は、私の存在そのものを無視している。

「ダメです。」
私はしつこく横から口を挟んだ。

「あんた何だい?いちいちうるさいよ。誰もあんたには聞いてないよ。俺は広山さんと話をしてるんだよ。どうですか?広山さん。」
男は、祐一郎と私とで態度を変えている。
(なめやがって・・・。絶対に合格させるものか。)

「誰に聞いてもダメなものはダメです。」
私は怒りを抑えて答えたが、少し強い口調となった。

「でも、さっき広山さんは考えてたんじゃないの。どうなの?広山さん。そういえば、前の時、山田さんはそれでOKでしたよ。」
私の口出しに苛立ちながら、男は再び祐一郎に迫った。
男の口調が少しぞんざいになったことに、祐一郎は動揺していて黙ってしまっている。

「そんなことはないと思います。」
また私が横から答えた。

「はい、はい、お嬢さんの言いたいことは分かったよ。さっきも言ったけど俺は広山さんと話をしてるんだよ。ねえ広山さん、山田さんに聞いてみてくださいよ。」
(この野郎・・・。)
私を見下して女扱いした発言に、私ははらわたが煮えくり返ってくるのを感じた。

「何回聞かれても同じです!!ダメって言ってるでしょっ!!」
怒りで声が上ずってしまった。
「おーおー、そんなヒステリー起こされたら話にならねえな。広山さん、どうなんです?」
私が強い言葉で意志を伝えようとしても、相手には冷静さを欠いていると思われてしまう。

「あっ、標識がないと・・・、やっぱり、ダ、ダメですね・・・。」
祐一郎がやっと相手に伝えた。
「はあ?何だよそりゃ。じゃ、さっきは何を考えてたんだよ。」
私が何度言っても納得しようとしなかったことを、祐一郎のしどろもどろの一言で理解したようだ。

「す、すみません・・・。」
祐一郎は謝ることが口癖になってしまっている。
「それじゃ、最悪今日は正式な合格にならなくてもいいけど、あとは標識つけるくらいなんだから使い始めちゃっても大丈夫だろ?広山さん。」
祐一郎が下手に出ているので、男は何とか都合のいい返事をもらおうとしている。
「え?あ、そ、それは・・・。」
祐一郎は新たな問いかけにまたしても動揺してしまった。

「ダメです!そんなことしたら許可を取り消します!」
こんな連中に少しでも妥協するわけにはいかない。
私は原則論で口を挟んだ。

「何だよ。そんな杓子定規にやられちゃたまんねえな。今日から使えねえんじゃ、計画が全部狂っちゃうんだよ!」
私の口調が気に入らなかったのか、男はいよいよ高圧的になってきた。

こうなると、少し身の危険を感じてくる。
相手は厳つい男3人。
こっちは、頼りない祐一郎と女の私だ。
(ここで手を出されたらおしまいだな。)
そう考えながらも、男はどんどんまくし立ててくる。

「合格が1日遅れたら、いくら損害が出ると思ってるんだ!?不当に合格を遅らせたって事で、お前らに損害賠償請求してもいいんだぞ!!」
男も頭に血が上って滅茶苦茶なことを言いだした。

「仕方ありません。」
言葉は丁寧だが「やれるもんならやってみろ!」という意味だ。

「仕方ありませんだと!?まったく他人事だな。これだから女は融通がきかなくて困るよ。やってらんねえな!もういいっ!!こっちにも考えがある!お前ら帰るぞっ!!」
男はそう言って、二人を引き連れ、高級車に乗って帰ってしまった。


「か、香川さん、どうしましょう・・・」
途中からただ突っ立っていたも同然の祐一郎が涙目で私に尋ねた。
「少しは自分で考えろ!」と言いたかったが堪えた。
「もう一度検査だね。気が重いけど、戻ったらこっちから連絡して日程調整しなよ。」
「はい・・。そうですね。」

私たちは重苦しい雰囲気の中、市庁舎に戻るため再び公用車に乗り込んだ。
私は祐一郎にダメ出しをするのも、もう面倒になっていたが、今言っておかないと分かってもらえない。
「広山さん、現場に入るときはまず、自分が誰であるかとここに来た目的を相手に説明しないとダメだよ。あと、相手の確認。今もあの男が誰だか最後まで分からなかったでしょ。広山さんとは何度かやり取りしてるはずだから、たぶん社長だとは思うけど。それから、広山さんの悪い癖だけど、ダメなものはダメってちゃんと言わなきゃ。」
私はハンドルを握りながら、できるだけ平静を保ちながら諭した。
「・・・はい・・・すいません・・。」
助手席の祐一郎はもう泣き顔だ。
(泣きたいのはこっちだよ・・・。)

フロントガラスに雨粒がポツポツと当たった。
とうとう空まで泣きだした。


(「祐くんにキツイんじゃない?」)
ふと昨日の綾香の言葉が頭に浮かんだ。

「ねえ、広山さん。ファッションのこと詳しいんだって?」
私は、無理して祐一郎の得意そうな話題に変えた。
「えっ?別に、そんなことありませんが・・・。」
「綾が言ってたよ。広山さんがシャネルのスーツすぐ分かったって。」
「あ、そうなんですか。綾香さんが・・・。」
「そう、広山さん詳しいって。」
「綾香さん、カッコイイですよね。本当にスタイルがいいからシャネルとかバーバリーとかカッチリしたスーツが良く似合いますよね。」
(カッコイイ?男なのに変な見方するな・・・)
「ふ〜ん。」
「今日はフェラガモのパンプスでしたね。綾香さん、意外とトラディショナルなスタイルが好きなんですよ。」
「ホントに詳しいね。」
(仕事でもそれくらいスラスラ喋れよ・・・。)


市役所の駐車場に付いたとき、雨はすっかり本降りになっていた。
私たちは大事な書類を濡らさないようにしっかり傘をさして駐車場から庁舎に戻った。

私たちが現場から戻ると、山田主任に呼び止められた。
「あ、香川ちゃん、課長がお呼びだよ。広山君もいっしょにだって。」
山田主任は私たち係の先輩だ。
四六時中ダジャレを言っているような明るい性格だが、仕事には厳しい頼りになる先輩だ。
「え?何ですか?主任。」
「さあ、俺もよく分からんが、さっき課長のところに松本先生から電話があったみたいだから、その関係かな?」
松本先生と言うのは市議会議員だ。
「ええ〜?何だろう?やだな〜。」
議員の先生が絡んでいい話だった試しがない。

私たちは自分の机にカバンを置き、そのまま課長の席に向かった。
「失礼します。」
私たちは課長席の前に二人で立ち、課長に声をかけた。
すると、資料に目を落としていた課長が顔を上げた。

「あ、香川さん、広山君、帰ってきて早々悪いね。」
いつもの穏やかな話し方だ。
「いえ。」
「今日はS興業の検査だったそうだね?ご苦労様。」
「あ、はい。」
「今日の検査、合格できなかったんだって?」
「はい、そうですが・・・何か?」
「実は、さっき松本先生から電話があってね、検査が合格しなかった理由を尋ねられたんだ。たぶん、S興業の社長から連絡が行ったんだろうね。」
S興業の社長が今日の検査を何とか合格にしてもらおうと松本議員に頼んだに違いない。
「あ、そうだったんですか・・・。」

私は、今日の検査の状況を手短に課長に報告した。
課長は時折頷きながら静かに聞いている。

「それは当然の対応だね。」
課長は温和な表情でそう言った。
「はい・・・。」
「それにしても香川さん、大活躍したようだね。」
課長は少し微笑みながら私の方を見た。
「えっ?そんなことは・・・。」
どうせ「頭の固いうるさい女が来た。」とでも伝わっているのだろう。
私は一応否定した。

「状況はよく分かったよ。先生には私から連絡しておくからもう戻っていいよ。ただ、松本先生が気にしてることは頭に入れておいてください。」
「はい、分かりました。失礼します。」
私たちは課長席の前から離れ、自分達の席に戻った。

「やっぱり、あの男が社長だったんだね。」
私は自分の席で書類を片付けながら、祐一郎に話しかけた。
「頭に入れとけってどういうことですかね?」
祐一郎は課長に言われたことを気にしている。
「甘くしろってことじゃないよ。むしろしっかりと指導しろってことだよ。」
と言いながらも、私も課長の本当の意図は分からない。
こういう微妙な命令が一番困るのだ。
「よくあることだよ。特に議会前は先生方の動きが活発になるからね。なにかに付けて課長のところ電話がきたりするんだよ。」
「そうですか・・・。」


「香川ちゃん、今日は大活躍だったんだって?」
山田主任が、課長と同じ言い方をして、私と祐一郎の会話に入ってきた。
「ええ〜?何ですかそれ。そんな言い方やめてくださいよ。大変だったんですから。」
「ごめんごめん。たしかにS興業の社長はちょっと短気だからなあ。でも、悪い人間じゃないよ。ちゃんと説明すれば分かってくれるはずだよ。」
「今日は標識板のこと指摘しただけで、大声出されちゃって・・・。法律で決まってる基準だからOKするわけにはいかないですよね。」
「もちろん。」
「でも、あの社長は『山田さんはOKだった』って言ってたんですよ。」
「ははは、そりゃ、彼らの常套手段だよ。そうやって揺さぶりをかけていい条件を引き出そうとしているのさ。」
「そうですよね。でも、同じことを言っても主任が言うと説得力があるんですよね〜。わたしが言ってもぜんぜん信用してくれないんです。」
「そんなことはないだろ。」
「ありますよ。今日だって、あの社長わたしが女だからって馬鹿にして・・・。」
私はさっきの現場のやり取りを思い出し、また不愉快になった。

「香川ちゃん、それは違うぞ。」
山田主任は真剣な顔つきになって話を続けた。
「香川ちゃんは今日、標識板が必要な理由をきちんと社長に説明したかい?こういうのは説明のしかたなんだよな。『決まりですから』じゃ感じ悪いだろ?理由をキチンと説明することが大事なんだよ。例えば、標識板だったら、何のために法律の基準になっているかを説明しなければいけない。現場の安全のために必要なものなんだから、そこを説明しないとね。もし、標識板がなくて事故がおきたら、会社は大変なことになるよ。もちろん、それで合格させていたらウチの責任だって問われる。」
「まあ、そうですけど・・・。」
(確かにそこは説明が足りなかったかもしれないな・・・)
「俺たち行政マンは法律に基づいて仕事をしてるんだから、法律のことをよく知った上で、誰にでも分かるようにきちんと説明する義務があるんだよ。男も女も関係ない。あの社長も真剣なんだよ。真剣に会社のことを考えて真剣に許可を取ろうとしてる。だから、こっちだって日ごろから法律のことを真剣に勉強して、真剣に対応しなきゃいけないよ。」
「はい・・・。」
山田主任の言うことはもっともだとは思ったが、私は何となく納得していない。
(主任は今日の現場にいなかったから、そんなことが言えるんだよ。)
あの社長が女の私のことをなめていたのは間違いない。

素直な祐一郎は、主任の言うことを感心して聞いている。

「あ、そうだ。次のS興業の検査は俺が行くことになったよ。香川ちゃん、行きたくないだろ?」
「え?まあ、そうですが・・・。」
確かに、あの現場にもう一度祐一郎と行くのは、少し気が重いと思っていた。
だが、これはおそらく、私はあの案件から体よく外されたのだろう。
私の内心は複雑だった。


。。。。。。。。。。。。。。。。


(くそっ!!)
私を見下しているS興業の社長の顔を思い出した。
(あれは、絶対に女を馬鹿にした表情だ)

(あいつ・・・)
一方で、情けない表情の祐一郎の顔も思い浮かんだ。
(どうして、いつまでたってもああなんだ・・)

私は湯船に浸かりながら昼間のことを思い出した。

もし、自分が祐一郎として今日の検査を行っていたら、あんなトラブルにはならなかったに違いない。
山田主任は違うといっているが、男と女では絶対に相手の態度が違う。

学生時代は女であることにある意味甘えて過ごしてきたにもかかわらず、こうして働き出して見ると、女の社会的な立場の弱さを思い知らされる。
そのことを必要以上に気にしてしまうのは、同い年の職場の後輩ができたからなのか、あるいは入れ替わりが真実であったことを知ったからなのかは分からない。
だが、ここ数ヶ月は特にそのことが気になって仕方がない。

いっそ、自分と祐一郎が入れ替わったらうまく行くのではないだろうか?
そんなことを考えてしまう。
もしかしたら、私と祐一郎も何かのきっかけで入れ替われるのではないか。
そんな想像もしてしまう。

実際、裕也と美保はあの時入れ替わった。
強ち現実離れした話でもない。

だが、そのやり方がまったく分からない。
あの公園でキスをすれば入れ替わるのだろうか?
そんなことはあるまい。
そんな簡単な条件なら何百何千組の入れ替わりがあるはずだ。

あの論文には入れ替わった人たちが元に戻ったケースはないと書かれていた。
それは2回入れ替わることはないということなのだろうか。

あの論文が真実であるとすれば、入れ替わりは記憶の書き換えなので、私自身は初めから美保であり、記憶が裕也に書き換えられてしまったということだ。
だから、もし私と祐一郎が入れ替わったとしたら、それは私の記憶が祐一郎のものに書き換えられてしまうということになる。
なんだか『自分』がいなくなってしまうようで淋しい気がするが、祐一郎の性格は女向きかもしれないので、今の美保の生活を受け入れることができそうな気がする。

今私は、祐一郎の気持ちをまったく無視した想像をしているが、高校2年のときの美保も同じような想像をしていたのかもしれない。

自分は確かに裕也だった。
私は本当に美保の想いに巻き込まれてしまったのだろうか。


私は、身体についたボディソープの泡をシャワーで洗い流した。
ふいにそのままオシッコをして見たくなった。
鏡の左手の壁面に、立ったまま身体を向けた。

両手を股間に添えた。
高校のとき、男子トイレでオシッコしている自分と重なった。
朝顔をひとつ置いた隣で翔も用を足している。

すると、自然と尿道が緩みオシッコが出てきた。

(気持ちいい・・・)

「次の試合もがんばろうな。」
翔が僕に話しかけてきた。
翔は、いつの間にか高校の卓球部のユニフォームを着ていた。
「おう。」
僕は答えた。
僕もユニフォーム姿だ。

(これだ・・・これが本当の自分の姿だ・・・)

そしてオシッコはすべて排出された。
それと同時に夢想から醒めた。

きれいな放物線を描いて朝顔に吸い込まれていたはずのオシッコは、実際は股間からだらしなく流れ落ち、私の内股を汚していた。

「はあ・・・」
私は落胆のため息を吐き、シャワーで股間と内股を洗い流した。


。。。。。。。。。。。。。。。。


「H建設の武田と申します。よろしくお願いします。」
私から見て一番左に座っていた最も偉そうなその男は、そう言って立ち上がり、私に名刺を差し出した。
肩書きには取締役工場長と書かれている。
「香川です。」
私も立ち上がり、相手の名刺を受け取りながら、自分の名刺を差し出した。

いつもながら、この名刺を受け取りつつ渡すという行為をする時、私はカードマジックをするマジシャンのように3つの指の股を駆使して、相手の名刺を落とさないように細心の注意を払って行っている。
私がこの儀式の正式な手順を知らないからなのであるが、大して知りたいとも思わないので、こうして曲芸を続けている。
先輩方の名刺交換を見ても私と大差ないし、研修で習った記憶もないので、そもそも作法などないのかもしれない。

打ち合わせテーブルの向こう側では、ダークスーツを着た4人の男たちが、肩を触れ合いながら窮屈そうに座っている。
4人用の打ち合わせテーブルなので片側に男4人は無理がある。
こちら側はアマガエルルックの私ひとりだ。

(あと3人か・・・)

「同じくH建設の山本です。」
次に左から2番目の男が名刺を差し出した。
肩書きは製造第二課長だ。
前の男の部下であろう。

「TSコンサルタントの南と申します。」
3番目の男だ。
(コンサルが一緒だから4人もいるのか・・・。)
大きなプロジェクトになると許可の手続きが格段に難しくなる。
そういう場合、技術的な専門家のコンサルタントに手続きを依頼することがよくある。

名刺には「マネージャー・技術士」と書かれている。
30代だろうか。
H建設のおじさん二人に比べ明らかに若い。
シルバーのハーフリムの眼鏡の奥で、知的な目が鋭く光っている。

今日の打ち合わせは「許可に必要な手続きについて教えて欲しい」というH建設からのオーダーを受けてのものだ。
コンサルタントを連れてきたということは比較的大きなプロジェクトなのであろう。

「同じくTSコンサルタントの香取です。」
最後に一番右手の男がそういって名刺を差し出したとき、私はその男の顔を見てハッとした。

(耕介!?)

少し驚いた私の表情を見て、男は、明らかに私のことを知っているような笑顔を見せた。

(やっぱり、耕介だ。)

その男は、大学時代の同級生「香取耕介」(かとり こうすけ)だった。
耕介は大学時代の友人だが、私の軽はずみな行動のせいで彼を怒らせしまい、それ以来疎遠になってしまった間柄だ。(サブストーリー3

「香川です。」
私は、心臓の鼓動が急激に速くなるのが分かったが、平静を装って名刺交換をした。

耕介の名刺には「係長」と書かれている。
(へえ〜、耕介も偉くなったのかな。)

「どうぞ、お掛けください。」
ひととおり名刺交換をし、立ったままの4人にそう言って促した。
「あ、狭いので、どうぞ、こちらにも回り込んでください。」
私は、そう付け加えて、テーブルの両サイドにも一人づつ座ってもらった。
耕介は、私の右手のサイドに座った。

早速打ち合わせが始まった。
説明は、主にTSコンサルタントの南氏が行った。
かなり大きなプロジェクトだ。
許可の手続きも最も難しい種類のものであることが分かった。
市役所の他の部局との調整が必要な上、県の承認を受けなければならないものであった。
このため申請から許可が下りるまで、順調に行っても1年近くかかってしまう。
年に一本あるかないかの最重要案件である。


打ち合わせは1時間ほどに及んだ。
その間、耕介は内容の確認のため2、3の質問を私にしたが、ほとんどは私と南氏のやり取りをメモすることに集中していた。

打ち合わせが終わり、4人は私の上司に挨拶をして帰っていった。
打ち合わせの間、私と耕介は極近い位置に座っていたが、二人が旧知の間柄であることに気づいた者は、おそらく誰もいなかったに違いない。
名刺交換の時の目配せ以外は、二人ともビジネスライクな関係に終始していた。


。。。。。。。。。。。。。。


「美保、すごいね。あんな4人の男たちを一人で相手にして。」
耕介は感心していた。

12月に入って最初の土曜日、私は久しぶりに耕介と、駅ビルの喫茶店で逢っていた。
天気は穏やかに晴れ、今日は12月とは思えない暖かさだ。
耕介とは大学1年のときに知り合ったが、2年からは疎遠になり、彼がどこに就職したかも私は知らなかった。
だから、こうして二人で話をするのは5年ぶり以上である。

「そんなことないよ。あれが仕事だもの。相手が何人いようといつもおんなじ話だからね。」
「いやあ、あの堂々とした対応ぶりは大したもんだよ。美保も変わったなあ。」
「そんなことより、耕介も係長でしょ?がんばってるじゃない。」
「ああ、あれ。あんなの名ばかりだぜ。ウチじゃ2年目になったらみんな係長だよ。部下もいないのにさ。名刺の役職で相手を少しで信用させようというセコイ作戦だよ。俺はまだ立派なヒラだよ。あはは。」
「そうなの?でもビシッとスーツ決めててカッコよかったよ。」
「そうかい?美保に褒められるなんて、お世辞でもうれしいよ。」
「お世辞じゃないよ。耕介は昔からカッコだけはよかったからね。」
「はあ?カッコだけ?そういうことかよ。まったく美保は正直だよな。そういうとこは昔のまんまだ。」


「お待たせしました。」
ウエイトレスが私の前にマンデリンのストレートを置いた。
耕介の前にはカフェオレが置かれた。

「男と女で逆みたいだな。あのウエイトレスもちょっと自信無さ気に置いたね。」
二人の前に置かれたコーヒーを見ながら、耕介は笑った。

「でもね、ホントは許可権者が業者と会っちゃまずいんだよ。」
「お、何その固さ。美保もお役人だねえ。」
「ホントだよ。もし、あたしがここで耕介にご馳走になっちゃったらアウトだからね。」
私はそう言ってブラックのままマンデリンを口に含んだ。
「ええ〜?何だよそれ、コーヒーくらいで。じゃ、俺が業者のうちは美保とは付き合えないの?」
「まあね。もっとも業者じゃなくても付き合わないけどね。」
「かあーっ!変わってねえなあ〜。でも、ある意味ホッとしたよ。」

「実を言うとさ、美保が俺の知り合いだってことをマネージャーに言ったらさ、あ、マネージャーって言うのはこの前一緒だった南さん。」
「うん。」
「その南さんがね、『じゃあ、この件の役所対応はお前に任せるよ。』って言ってくれたんだ。これだけのプロジェクトをヒラが役所対応することあんまりないから、結構抜擢なんだぜ。」
「ええ〜?そうなの?」
「なんだよ、そのイヤそうな言い方は。まあ、いいや。ということでよろしくお願いします。」
「でもウチは厳しいよ。」
「そうらしいね。この業界じゃ、有名みたいだよ、厳しいの。だから、みんなあんまりやりたがんない。」
「耕介も大変だね。」
「うん、だから面倒見てよ。」
「何?面倒って。」
「そりゃいろいろね。他よりちょっと優先して処理してもらうとか、何か大目に見てくれるとか・・・」
「甘い甘い、甘すぎるよ、耕介。そんなこと絶対するわけないでしょ。」
「ええ〜?マネージャーも多分その辺を期待してると思うんだけどな〜。」
「あの頭の切れそうな南さんが?」
「そう、あの人半端なく頭いいんだよ。ウチの会社のエースだよ。ただ、部下に厳しいのはもちろん、上司にも強いから結構敵も多いんだ。でも、なぜか南さん俺のこと可愛がってくれるんだよ。もう、俺ものすごくあの人から学んでる。だから俺も会社のためというより、南さんから任されたことは絶対に最後までキチンとやってみせるってね。」

「でも、もしその南さんが役所のお目こぼしを期待してるとしたら、TSコンサルってそんな程度の会社なの?ってとこだよ。あれだけのプロジェクトなんだから変なところに手を抜かないほうがいいよ。役所の手続きを甘くしてもらおうなんて考えてる時点でろくなものができないから。」
「言うね。」
「役所の手続きや法律の基準なんて最低限の話だからね。そんなところは当然にクリアした上でそれ以上にどこまでいいものが作れるかが大事だよ。だから、手続きなんて正攻法でコツコツやっていけばいいんだよ。むしろ、他より厳しく審査してくれって気持ちでね。」
「そりゃそうだけど。」
「この許可は時間がかかるよ。これはH建設も含めてよく知っておかなきゃいけないよ。だから、耕介も早目早目に動いてさ、後で慌てないようにしなよ。耕介の段階であまりコストや納期のことを考えて、プロジェクトの質を落とすようなことはしないほうがいいと思うよ。どこにも負けないようないいものをコンサルとして提案すべきだよ。そうすれば自ずと許可もうまく行くよ。」
偉そうなことを言っているが、ほとんどは山田主任の受け売りだ。
「やっぱり、美保、変わったな。びっくりしたよ。お前の言うとおりかもしんない。ちょっとウチの会社は力の入れる方向が違うような気がしてきた。」
「南さんなら分かってるとは思うけどね。」
「ならいいけど。」

窓から穏やかに差し込んだ太陽光線にタバコの煙が漂い、観葉植物の葉を輝かせていた。


「ねえ、耕介。実はあたしね、ずうっと耕介に謝りたいと思ってたんだ。」
「え?何を?」
「うん。例の、あの・・、修ちゃんのこと。」
「ああ、あのこと・・・。」
「あの時耕介に言われてから、何となくウヤムヤな感じになっていたけど、あの時のことは本当に反省してるの。本当にごめんなさい。ホントは修ちゃんに言わなきゃいけないんだとは思うんだけど・・・。」
「ううん、いいんだよ。だいいち美保はあの時俺に謝ったぜ。むしろ、謝んなきゃいけないのは俺のほうだよ。ごめん。」
「えっ?」
「俺も、ずっとあの時のことは心の中の重石になっていたんだ。俺、あの時あんな偉そうなこと勢いでいっちゃったけどさ、多分修一に嫉妬したのかもしれないってすぐに思ったんだ。なんか俺のほうこそ修一を利用してたなって。でも、なんとなく美保にはあの後伝えそびれちゃってさ。俺の方こそ、本当にゴメン。」
「そうなんだ・・・。でも、あの時耕介に指摘されたことは、そのとおりだったんだよ。あたしが修ちゃんを軽く見てたことは本当なの。」
「そっか。じゃあ、俺達本当は修一にキチンと謝らなきゃいけないな。でも、いまさら謝られてもあいつも迷惑だから、もうお互いこれでケジメにしようよ。」
「うん、そうだね。なんだか、耕介にこの話ができてすっきりした。」
「俺もだよ。」


「美保、お前さ、今彼氏いるの?」
耕介が話題を変えた。
「なに、突然そんなこと聞くの。」
唐突な問いかけに少し驚いたが、軽い話題に心が和んだ。
「いいだろ、別に。教えろよ。」
「なんか、久しぶりだね。耕介のそういうとこも。変わらないね。耕介はどうなのよ。彼女いるんでしょ?」
「いない、いない。」
「ホントに?」
「ホントだよ。俺は美保一筋だよ。」
「ははは。誰が信じるもんか。」
「そうだよなあ・・・。でもマジ。俺ってさ、基本女嫌いなんだよね。」
「はあ?何言ってんの?」
「だから、女キライなの。でも、美保だけは別。自分でもよく分かんないけど、美保には惹かれるんだ。」
「なにそれ。」
「大学入ってさ、初めて美保と会ったときに、いいなあって思ったんだ。なんでだろ?一目ぼれかな。俺美保以外の女を好きになったことないよ。美保に会う前もないし、大学卒業してからもなかった。でも、また美保に会って、大学のときと同じ気持ちになった。」
「新手の口説き?」
「お前がどうとってもいいけど、これは本当だよ。自分でもよく分からない。だから俺、今日美保に会えてスゲーうれしいんだぜ。」
「耕介が言うと、すごくウソっぽいね。でも、ウソでもうれしいよ。」
「ウソじゃないって言ってるのに・・・。」
「でも、耕介って昔から女の子にモテてたでしょ?」
「まあね。」
「あれ?否定しないんだ。」
「俺は女の気持ちはよく分かるんだよ。」
「しょってるなあ。でもなんでそれで女嫌いなのよ。」

「知りたい?」
「ははは、何それ、もったいぶって。知りたい、知りたい。」
「しょうがねえなあ。じゃあ、特別に教えよう。」
「実はさ、俺、女なんだよ。だから、女キライなの。」
「えっ?」
(どういう意味?)
「なあ〜んてね。そんなわけねえだろ。」
私が意味を想像する間もなく、耕介は即座に否定した。
「はっ?」
私はちょっと呆気にとられた。
「多分姉ちゃんに散々苛められたからかな〜?」
「はあ。。」
私は耕介の話のテンポに付いていけず、生返事になった。
「あれ?美保知らなかった?俺に姉貴がいたこと。姉貴っていっても双子だけどね。」
「うん、知らなかったけど・・・。」
そういえば、私は耕介の家族構成を知らない。

「大学んとき、お前が男嫌いみたいなこと言ったことがあってさ。俺とおんなじだなって思ったんだよな。で、美保はどうなんだよ。」
私の頭が整理されないうちに、耕介は問いかけてきた。

「うん、実はね、あたし、ずっと付き合ってた人がいたんだ・・・。」
私は勢いで返事をしてしまった。

そして、私はユウのことを耕介に話した。

耕介はさっきまでの急テンポの話し手から一転して、聞き手に回った。

ユウが幼なじみで高校の同級生だったこと。
大学時代に再会してから付き合い始めたこと。
ユウは東大卒のキャリア官僚だったこと。
ユウとは結婚を考えるほどの仲であったこと。
そして、ユウは今年の5月に自殺したこと。
もちろん、入れ替わったことは話さない

「そうだったんだ。美保も大変だったんだな。でも、意外だなあ。美保が男と付き合ってたなんて。そのユウって奴はよっぽどいい男だったんだな。」
「うん・・・。ごめん。」
「あれ?なに謝ってんの?俺は美保も男と付き合うんだということが分かって安心したぜ。」
「俺今はユウに勝てないかもしんないけど、そのうち勝てるかもしんない・・・。東大卒の財務省キャリア官僚かあ・・・。う〜ん、やっぱ、勝てないぜ、くそー。よくよく考えると美保は相当お目が高いよなあ。ははは・・・はあーっ。」
耕介は自分の結論に失望してしまった。

「学歴なんか関係ないよ。でも、あたしはまだ、ユウ以外の人を恋愛の対象とは考えられない。」
「『まだ』ってことはいつかは俺が恋愛の対象になることもあるってことかな?」
「わからない。ユウは特別だから・・・。」
「『特別』かあ。どんな奴だったんだろうな。一度会って見たかったな。」
「うん、あたしも、もう一度・・・会いたい・・・。」
耕介のひと言が、私のユウに会いたい気持ちを刺激した。
私は瞳の奥が熱くなるのを感じた。

「あ、ごめん、美保。こんなこと軽い気持ちで言うもんじゃないよな。」
耕介は昔から会話の空気に敏感だった。
私の表情から私の気持ちを察知したのだろう。
「ううん、いいの。耕介にまで気を遣わせてゴメンね。」
私は耕介の気遣いがうれしかった。


「美保、俺さっき双子の姉貴がいるっていっただろ?」
「うん。」
「俺もさ、姉貴ともう6年以上会ってないんだよ。」
今度は耕介が自分の話をはじめた。。
「え?どうして?」
「行方不明なんだ。もしかしたらもう生きてないのかもしれないな。」
耕介の表情は真剣だが、深刻さはなく穏やかな話し方だ。
「どういうこと?」
「うん。実はさ、その姉貴の名前はアユミって言うんだけど、歩くに美しいで歩美。」
「うん。」
「さっきもチラッと言ったかもしれないけど、俺、もともとは歩美だったんだよ。」
「ええっ!?」
私は驚いて一瞬血の気が引いた。
どういうことだろう?
まさか、私と同じということなのだろうか。

「誰も信じてくれなかったんだけどね。」
耕介はそういって淋しそうに笑った。

私の心は大きく動揺していたが、店内は相変わらず穏やかな光に包まれていた。


(つづく)

拍手する ←よろしかったら

■ 記憶の中の僕 Season 2 ■
第1話 再甦の兆し
第2話 カミングアウト
第3話 嫉妬
第4話 革命のカリスマ

掲示板
  1. HOME>
  2. 記憶の中の僕 Season 2 > 第2話 カミングアウト
inserted by FC2 system